都市部を歩けば、グラスやカップの並ぶテーブルの上にノートPCが整然と置かれた光景が当たり前になった。オフィスでも自宅でもない第三の居場所――「サードプレイス」を掲げて日本市場を席巻したスターバックスの思想は、今や外食産業全体のビジネスモデルを再定義している。
かつて飲食店にとって、長居する客は回転率を下げる「招かざる客」の筆頭だった。しかし、テレワークが社会基盤として定着し、時間消費型のビジネスが脚光を浴びるなかで、店舗側の姿勢は180度転換した。電源コンセントを標準装備し、高速な通信回線をアピールするチェーンが急増。コーヒー1杯の対価は、単なる液体ではなく「快適な時間と空間の利用料」へとシフトしたのだ。