暖簾をくぐった多くの客が品書きで真っ先に探すのが、善治郎の象徴とも言える数量限定「真中(まんなか)たん定食」です。
牛たん1本はおよそ1キロから1.5キロ程度ですが、先端部(たん先)は筋肉質で硬く、根元にいくほど脂が乗って柔らかくなります。この根元の最も柔らかい芯の部分だけを極厚に切り出したものが「真中たん」です。1本の牛たんからわずか1〜2人前しか削り出せないため、1日の提供数は仕込み数に応じて極めてタイトに制限されています。
口に含んだ瞬間に広がるのは、炭火特有の香ばしい燻煙香と、歯が吸い込まれるような異次元の柔らかさです。分厚い断面からは、噛むごとに上質な肉汁が溢れ出します。一般の牛たん定食と比較して価格帯は上がりますが、「この1食のために新幹線代を払って仙台に来る価値がある」と評する常連が後を絶ちません。昼のピークを迎える前、11時台の案内分で完売告知が出るケースも珍しくないため、これを味わうには朝の整理券確保が事実上の必須条件となります。
また、隠れた至高の名作として知られているのが「ゆで牛たん」です。特製のだし汁で箸がすっと通るまで何時間もじっくり煮込まれた一品で、添えられた練りわさびをつけて口に運べば、ほろほろと繊維がほどけていきます。焼き牛たんの力強い歯ごたえとは対極をなす優しい旨味の極致であり、定食にプラスして単品注文するリピーターが圧倒的多数を占めています。
昼どきのランチメニューには、通常の牛たん定食に加えて「牛たんつくね」や「牛たんソーセージ」が盛り合わされた定食、牛たん丼など、価格を抑えつつ多彩な味を楽しめる選択肢が用意されており、観光客のみならず地元のオフィスワーカーからも厚い信頼を寄せられています。