ノースランドボウル黒部店の閉館を論じる際、多くの人が「黒部市の経済地盤沈下」や「単なるボウリング人気の衰退」と片付けがちですが、そこには地方特有の見落とされがちな盲点が存在します。
その第1が、北陸新幹線の開業に伴う生活動線と観光動線の二極化です。黒部宇奈月温泉駅の開業により、市外・県外からの視線は宇奈月温泉やトロッコ電車といった観光資源に集中しました。一方で、国道8号線沿いを中心とする旧来の市民生活動線エリアでは、バイパス整備による交通量の変化や、郊外型大型ショッピングモール(イオンタウン等)への商業機能の集約が進みました。ノースランドボウル黒部店が位置した荻生周辺も、都市計画や商業地としてのポジショニングの再編に巻き込まれていったのです。
第2の盲点は、黒部市におけるアミューズメント施設の絶対数不足問題です。かつて同市内にはカラオケ店、ゲームセンター、ボウリング場が点在していましたが、2010年代以降、黒部市内のレジャー施設閉店が相次ぎました。娯楽の選択肢が減少する中で、住民の週末レジャーは魚津市や富山市などの上位商圏へと流出していきました。「地元に遊ぶ場所がないから隣町へ行く」というストロー現象が、黒部店の顧客基盤を静かに削り取っていった現実は否定できません。