インターネット上の掲示板や知恵袋、SNSを分析すると、インフルエンザの頭痛に関して極めて危険な誤解が放置されている実態が浮き彫りになります。
代表的な誤解が「大量に汗をかけば熱も頭痛も早く引く」という迷信です。厚着をして無理やり汗をかこうとする行為は、脱水症状を一気に悪化させ、血液の粘度を高めて脳血管トラブルを誘発する引き金になりかねません。発汗は解熱の結果として自然に起こるものであり、人為的に汗を絞り出す行為は百害あって一利なしです。
さらに見過ごせないのが、現代のテレワーク普及に伴う「在宅プレゼンティーズム(体調不良を押しての無理な在宅勤務)」の弊害です。大手企業の産業医への取材によると、発熱や頭痛を抱えながら「出社しないから迷惑はかからない」と自宅でパソコン作業を継続した結果、眼精疲労と脳への過負荷が重なり、インフルエンザで頭痛が治らない理由を自ら作り出している労働者が急増しています。
病初期に脳と身体を休解させずディスプレイを見つめ続ける行為は、サイトカインによる中枢神経の炎症を長引かせ、全身の回復を著しく遅らせます。
【プロの結論】自宅療養を続けるべき人・救急車を呼ぶべき人の判断基準
インフルエンザによる頭痛に直面した際、家庭内で冷静に判断を下すための医療的な選別基準(トリアージ)を提示します。
【自宅療養・処方薬で安静を維持すべき条件】
- 痛みの種類が一定で、アセトアミノフェン服用後に一時的でも痛みが和らぐ。
- 自力で水分や経口補水液を1日あたり1,000ml以上摂取できている。
- 受け答えが明瞭で、視線が合い、日時や家族の名前を正確に答えられる。
【夜間急病センター受診・または救急要請をすべき緊急条件】
- 「バットで殴られたような」突然の激痛が走った、またはこれまで経験したことのない痛みの強さである。
- 首が硬直して前屈できず、光を異常に嫌がる、または噴水状の激しい嘔吐を繰り返す。
- 意味不明な発言、視線が合わない、異常な興奮やうわ言などの意識変容がみられる。
- 水分摂取が全く受け付けず、半日以上排尿が確認できない。
健康や生命を脅かす病変において、「様子見」は美徳ではありません。特に頭痛が解熱後に悪化している場合は、自己判断を捨てて専門医の門を叩く決断が求められます。