ミスド創業の象徴「ホームカット」なぜ消えた?終了理由と現在の真相

ミスド創業の象徴「ホームカット」なぜ消えた?終了理由と現在の真相

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ミスタードーナツの黎明期を支えた看板商品が、一体なぜショーケースから外れることになったのでしょうか。社史やファンの購買動向、そして製菓業界全体のトレンドシフトを紐解くと、単なる「売り上げの浮き沈み」だけでは片付けられない、時代背景と経営戦略が浮かび上がってきます。ミスド ホームカット 販売終了 理由の核心には、消費者の嗜好変化と店舗オペレーションの近代化という2つの大きな構造的要因が存在していました。

最大の転換点となったのは、2000年代初頭から加速した「食感イノベーション」です。2003年に登場した「ポン・デ・リング」が社会現象とも呼べる爆発的ヒットを記録し、ドーナツ市場全体で「モチモチ」「サクサク」「しっとり濃厚」といった、一口で明確な個性が伝わるインパクト重視のテクスチャーが求められるようになりました。この劇的な嗜好の変化のなかで、プレーンかつ極めて素朴な口当たりを特徴としていたホームカットは、新世代の派手なフレーバーやコラボレーション商品の陰に隠れ、徐々に購買層の高齢化が進んでいった経緯があります。

もう一つの要因が、店舗厨房における「生地ロスと陳列の鮮度管理」です。ホームカットはコーティングを一切施さないプレーン生地であるため、空気に触れると表面が乾燥しやすく、揚げたての柔らかい口当たりを維持できる時間が極めて短いという特性を抱えていました。グレーズ(シュガーシロップ)やチョコレートでコーティングされた商品に比べ、ピークタイムを過ぎた後の風味劣化が早く、均一な品質を長時間キープすることがフランチャイズ運営上の大きな課題となっていたのです。こうした複合的要因が重なり、2010年代前半のグランドメニュー再編の波の中で、惜しまれつつも全国のレギュラー供給が終了する運びとなりました。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。