深夜の静寂の中、スマートフォンのスピーカーから流れる重低音の祝詞。ここ数年、YouTubeや音楽ストリーミングサービスでは、大祓詞をBGMにした動画が数百万回再生されるほどの人気を博している。「聴くだけで邪気が抜ける」「部屋の空気が変わる」といった視聴者の声が書き込まれる一方で、体調不良を訴えるコメントも後を絶たない。
問題は、これが単なるリラクゼーション音楽と同列に扱われている点にある。本来、神道における祝詞は、神聖な空間で身を清めた者が神仏へ捧げる言葉だ。それを満員電車の中や、散らかった自室で「ながら聴き」することに対する違和感や不気味さが、ネット上での不安の火種となっている。