頭部打撲におけるリスク管理は、受傷者の年齢層によって警戒すべきポイントが大きく異なります。特に「乳幼児・小児」と「高齢者」は特別な注意が必要です。
子供が頭を打った場合の経過観察ルール
乳幼児は成人に比べて頭部が重く、転倒時に頭を打ちやすい構造をしています。受傷直後に「火が付いたように大泣きした」場合、泣くエネルギーがあり意識がしっかりしている証拠でもあります。泣いた後、いつも通り母乳やミルクを飲み、機嫌よく遊んでいるようであれば、過度に慌てる必要はありません。
ただし、以下の症状が見られる場合は子供頭を打った様子見を打ち切り、直ちに小児科や脳神経外科を受診してください。
- 受傷後に全く泣かず、ぐったりとして視線が合わない
- ミルクや食事を吐き戻す(特に2回以上の嘔吐)
- 機嫌が異常に悪く、あやしても泣き止まない
- 頭部のたんこぶがブヨブヨと広範囲に柔らかい(帽状腱膜下血腫や骨折の疑い)
高齢者が頭を打った場合の「後日急変」リスク
高齢者の頭部外傷で最も警戒すべき疾患が慢性硬膜下血腫です。加齢に伴って脳が萎縮している高齢者は、脳と硬膜をつなぐ静脈(架橋静脈)が引っ張られて脆くなっています。そのため、柱に軽く頭をぶつけた程度の極めて軽微な打撲であっても血管が切れ、数週間から2〜3カ月かけて硬膜の下に血液がじわじわと溜まっていきます。
受傷から1カ月ほど経過した後に「歩行時にすり足になり、よくつまずく」「失禁するようになった」「受け答えが曖昧になり、急激に認知症が進んだように見える」「片側の手足に力が入らない」といった異変が現れた場合、慢性硬膜下血腫が強く疑われます。この疾患は頭部CT検査で容易に診断でき、局所麻酔下の穿頭血腫ドレナージ術という比較的平易な手術で劇的に回復するため、高齢者の頭部打撲は数カ月間にわたる後日の状態変化を見逃さない姿勢が重要です。