鈴木伸之の俳優人生を振り返る上で欠かせないのは、固定のパブリックイメージに安住せず、作品ごとに全く異なる表情を見せてきた果敢な挑戦の歴史です。彼のドラマキャリアは、いくつかの明確な転換期に分類することができます。
第1の転換点となったのが、2017年に放送されたTBS系火曜ドラマ『あなたのことはそれほど』です。波瑠演じる主人公・美都の不倫相手である有島光軌役を務め、「悪気のないクズ男」「憎めない色男」という難解なキャラクターを絶妙な軽薄さと生々しさで好演。放送当時はSNS上で「有島くん」が連日トレンド入りを果たし、視聴者から凄まじい賛否両論の反響を巻き起こしたことで、全国区の知名度を獲得しました。
続く第2の飛躍は、2018年の日本テレビ系『今日から俺は!!』における開久高校の頭・片桐智司役です。原作屈指の人気キャラクターであり、圧倒的な腕っぷしの強さと男気溢れる佇まいを、持ち前の長身と鋭い眼光で見事に体現。原作ファンからも「智司の再現度が完璧すぎる」と絶賛され、アクション俳優としてのポテンシャルを広く知らしめました。
そして第3のフェーズとして、医療エンターテインメントの金字塔となったフジテレビ系『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』シリーズ(2019年・2021年)での整形外科医・辻村駿太郎役、さらに2022年の読売テレビ・日本テレビ系『ケイ×ヤク -あぶない相棒-』における公安捜査官・国下一狼役(犬飼貴丈とのW主演)、2023年のフジテレビ系『忍者に結婚は難しい』での草刈悟郎役(菜々緒と夫婦役で主演格)など、主演・準主役級としてドラマの軸を支える存在へと成熟しました。