表舞台から姿を消す期間が長引くたび、週刊誌やネットメディアには真偽不明の情報が飛び交った。一時は「すでに意思疎通が取れない状態にある」「ホスピスに入所した」といった憶測が独り歩きし、不穏な噂の真相を追う報道合戦が繰り広げられた。
だが実態は、限界ギリギリの状態でありながらも、猪木はリハビリを一切諦めていなかった。面会謝絶が続いた時期も、本人は再起を信じてスクワット運動を試みるなど、リング復帰ならぬ「社会復帰」へ執念を燃やしていた。誇張されたゴシップの多くは、ただ最後まで生き切ろうとした一人の表現者の現実とは大きく乖離していたのである。