東京10区を分析する際によく見られる誤解の一つに、「かつて小池百合子氏が地盤を築いたのだから保守層が圧倒的に強いはずだ」というステレオタイプがあります。これは現在の選挙区構造を見誤る大きな盲点です。
第一に、小池氏が議席を維持していた時代は「個人の強烈なカリスマ性と劇場型政治」への支持が大きく、自民党の組織基盤そのものが盤石であったわけではありません。第二に、前述のとおり区割り改定によって自民党支持層が厚かった練馬区が切り離され、無党派層やリベラル層が多い文京区が合流したことです。
この構造変化により、東京10区は「与野党どちらかが圧倒的優位に立つ選挙区」ではなくなりました。公明党の推薦票や労働組合の支援票といった基礎票を積み上げた上で、浮動票の6〜7割をどちらが獲得できるかによって当落が入れ替わる、完全な「風の選挙区」へとシフトしています。過去の選挙データに惑わされず、最新の地域編成に基づいたパワーバランスを把握することが肝要です。