配信サービスの普及により、歴史コンテンツの消費形態は劇的に変化した。NHKオンデマンドで過去の名作大河ドラマを見返す歴史ファンが増える一方、Netflixをはじめとするグローバルな動画配信基盤でも幕末を舞台にした時代劇やアニメが世界中に配信され、新たな世代の関心を呼んでいる。
画面上で躍動する龍馬の姿に触れた視聴者の多くが立ち返るのが、長崎の上野彦馬撮影所で撮られたとされる、あまりにも有名なあのフルレングスの肖像写真だ。台に右肘を載せ、懐に右手を入れたあの構図である。
写真に写る龍馬は、確かにすらりとした足の長さと肩幅の広さを感じさせる。だが、写真技術の専門家や史学者の分析によれば、当時の写真乾板の特性や台座の高さ、カメラのアングルによって、被写体が引き締まって長身に見える構図が意図的に作られていた可能性も指摘されている。写真館でポーズを決める龍馬自身が、自らをどう見せたいかを熟知していたセルフプロデュースの巧者であったことを物語る興味深いエピソードだ。