アスリートにとって、氷に乗れない日々ほど過酷な時間はない。木原龍一を襲った腰椎分離症や度重なるアクシデントは、順風満帆に見えた二人のキャリアに突如として暗い影を落とした。しかし、三浦璃来が投げかけた言葉は常に前を向いていた。「焦らなくていい、二人で滑る未来があるから」。カナダ・オークビルを拠点に行われた地道な体幹再構築と柔軟性の強化。痛みを恐れず、かつ負荷を逃す滑走フォームの徹底的な見直しは、結果として怪我の前よりも強固な肉体と連動性を生み出した。
リンクサイドで見つめる関係者が息をのむほど、現在のスケーティングには迷いがない。深いエッジワークから生み出されるスピードは一段と増し、代名詞であるツイストリフトは滞空時間をさらに伸ばしている。「りくりゅう」の愛称で親しまれる二人は、苦境をただ耐え忍ぶのではなく、自らのスケートを根底から進化させるための契機へと変えてみせた。