「日本の役者は表現が大げさで不自然だ」と言われる最大の要因は、制作現場の演出方針にある。お茶の間のテレビ画面を通じて万人向けに作られてきた日本の映像文化では、遠くからでも状況が伝わるよう、表情や声を過剰に作らせる記号化された演出が定着した。セリフで説明し尽くし、喜怒哀楽を顔芸レベルで表現することが求められてきたわけだ。
日本映画監督協会の関係者は「監督がどれほど自然体の芝居を求めても、プロデューサー側から『もっと分かりやすく顔を作ってくれ』と要求されることがある」と漏らす。観客の解釈に委ねる余白を削り取り、型にはまった演技を強いるシステムが、役者の表現力を奪う要因となっている。