マネジメント層が発信した言葉が、現場のメンバーにどのように受け止められているのか。大手人材コンサルティング各社が実施した職場コミュニケーション実態調査などのデータによると、中間管理職や若手社員の約68%が「上層部から『至上命題』『絶対必達』と指示される案件が多すぎて、どれが本当に重要なのか麻痺している」と回答しています。
SNSやビジネス掲示板(知恵袋やコミュニティ)に寄せられる現場のリアルな声を見ても、言葉のインフレに対する強い戸惑いが伺えます。
「期初の方針発表会で『新規獲得が至上命題』と言われた翌月、役員から『既存顧客の離脱防止こそが至上命題だ』と叱責された。至上命題がいくつもある時点で、優先順位の放棄ではないか」
「上司が毎日のミーティングで『定時退社が至上命題』『売上アップが至上命題』と連呼するため、言葉が完全に形骸化して誰も本気で受け止めていない」
心理学や組織論の観点から見ても、至上命題という強い言葉を日常的に乱発することは、チームの「認知的過負荷」を招き、心理的安全性を低下させる要因になります。本来は「これだけは何があっても守り抜く」という組織の拠り所であるはずの言葉が、単なる感情的なプレッシャーの道具として消費されてしまっているのが現場の実態です。