東京都現代美術館の真髄を味わうためには、常に先鋭的なテーマを投げかける東京都現代美術館の企画展と、日本の戦後美術史を体系的にたどるコレクション展(MOTコレクション)の二本柱を正しく把握しておく必要があります。
企画展では、国際的に高い評価を受ける現代美術家の大規模個展や、地球環境・情報社会・身体性といった現代の切実な課題を多角的に切り取るテーマ展が開催されています。高さ約19メートルを誇る地下展示室や吹き抜けの大空間をフルに活用したダイナミックな設営は、都内の他館では決して味わえない迫力です。作品と鑑賞者が同じ空間の空気を共有するような没入感こそが、MOTの企画展最大の強みと言えます。
一方、見逃されがちなのが「コレクション展 現在」の充実ぶりです。収蔵されている約5,700点の中から、会期ごとに異なる切り口で構成される常設企画は、日本の現代美術の厚みを実感できる圧巻のクオリティを誇ります。名だたる巨匠の代表作から新進気鋭の作家の意欲作までが揃い、企画展に比べて鑑賞密度が高すぎず、自分のペースでじっくりと作品に対峙できる落ち着いた環境が保たれています。
効率的な鑑賞ルートとしては、まず集中力の高い時間帯に3階または地下2階の企画展へ向かい、その後に1階や3階のコレクション展へと流れる導線がスムーズです。回廊を歩く合間に中庭の水辺や公園の木々を視界に挟むことで、頭をリフレッシュさせながら次の作品世界へと移ることができます。