世界的な大ヒットを記録したステルスアクションの祖メタルギアソリッドシリーズや、分断された世界を繋ぎ直す革新的タイトルデスストランディング。これらの金字塔を支えるプロットの奥底には、小島監督が愛読してきた文学作品の濃厚な影が落ちています。
たとえば『デスストランディング』の企画発想において、安部公房の短編小説『なわ』が引用されたことは広く知られています。「人類が最初に発明した道具は『棒』であり、次に発明したのが『なわ』である。棒は悪を遠ざけるために使い、なわは善を引き留めるために使う」。この文学的命題をゲームシステムへ昇華させた手腕こそ、読書体験が直接クリエイティブに結実した最高の証左です。
また、小島秀夫 SF小説への偏愛はゲーム内のミリタリー設定やテクノロジー描写、近未来の社会哲学へ克明に反映されています。アーサー・C・クラークやロバート・A・ハインラインといった古典SFの骨太な世界観から、親交の深かった夭折の作家・伊藤計劃氏の『虐殺器官』『ハーモニー』に至るまで、彼が愛した物語はゲームという新たな表現形態を通じて次世代のプレイヤーへと手渡されています。