もう一方の「ダイゴ」、メンタリストDaiGo氏と弟・松丸亮吾氏を育て上げた松丸家の両親は、民間の知性派プロフェッショナルです。
父親の松丸悟(さとる)氏は、長年にわたり技術畑を歩んできたエンジニア・会社員です。論理的で物静かな性格であり、自宅には常に最新のパソコンや機材が揃っていました。次男の彗吾氏がプログラミングに目覚め、四男の亮吾氏が数理パズルに夢中になった背景には、父・悟氏の理系気質と「知的な道具に自由に触れられる環境」があったことは間違いありません。
そして、松丸4兄弟の人生に決定的な影響を与えたのが、母親の松丸順子(じゅんこ)さんです。順子さんは現役の薬剤師として働きながら、4人の男子を育て上げました。その教育方針は、昭和・平成の受験界に見られたスパルタ教育や過度な詰め込みとは正反対のものでした。
順子さんが徹底したのは「知的好奇心を刺激する仕掛け作り」です。リビングには百科事典や図鑑が常に置かれ、兄弟が日常の些細な疑問を口にすると、順子さんは決して答えを教えず、「一緒に調べてみよう」と図鑑を開かせました。また、勉強を義務として強制することは一切せず、ゲーム感覚で解ける算数パズルや知恵の輪を生活の中に自然と散りばめていたといいます。
長男の大悟氏は慶應義塾大学理工学部へ進学、次男の彗吾氏もプログラミングの世界で頭角を現し、三男の怜吾氏は慶応義塾大学から独自の道を歩み、四男の亮吾氏は東京大学へと現役合格を果たしました。4兄弟全員が突出した実績を残した背景には、母親の類まれなる教育デザイン能力があったのです。
しかし、一家に突然の過酷な試練が訪れます。順子さんが乳がんを発症したのです。懸命な闘病生活の末、順子さんは2012年4月、享年58歳という若さで他界されました。長男のDaiGo氏がテレビの特番や自著の手記で語ったところによると、母の逝去に直面した際の喪失感は言葉にできないほど壮絶なものであり、「自分が心理学や人間の行動を探求する根底には、母を救えなかった無力感と、母が生きていた証を残したいという強い思いがある」と明かしています。