SNSやネット掲示板、飼育コミュニティでアカメカブトトカゲの飼育実態を調査すると、ほぼ全員が口を揃えて投稿する共通のフレーズがあります。それが「生体を買ったはずなのに、普段は土と水苔しか見えない」というリアルな嘆きです。
本種は夜行性かつ極めて用心深い性格をしており、野生下でも倒木の下や湿った落ち葉の隙間に潜んで暮らしています。日中、飼育者がケージの前に立つと、目にも留まらぬ速さでシェルターへ逃げ込むか、手足を硬直させて「死んだふり」を決め込みます。大手SNSのコミュニティでは次のような率直な声が寄せられています。
「飼い始めて3年になりますが、昼間に堂々と姿を見せてくれたことは片手で数えるほどしかありません。朝起きて、霧吹きをした水滴が乱れていたり、水入れの中に脱皮殻やフンが落ちているのを見て『ああ、昨晩も元気に生きていたな』と確認する日々です。でも、深夜に部屋の明かりを消して赤色ライトでそっと覗いたとき、水皿に浸かって虚空を見つめている姿を見られた瞬間は、どんな疲れも吹き飛ぶほど愛おしいです」(飼育歴3年の会社員男性)
この極度のシャイネスを受け入れることが、本種と長く付き合うための最低条件です。ケージレイアウトにおいては、人間の鑑賞性を優先したオープンな配置は厳禁です。ヤシガラ土やソイルを5cm以上の厚さで敷き詰め、その上に水苔や落ち葉、コルクバークを幾重にも重ねて「身を隠せる逃げ場」を豊富に作ってあげるレイアウトこそが、トカゲのストレスを最小限に抑え、結果として夜間の活発な摂餌行動を引き出します。
また、寿命は適切な飼育下で約8年〜12年と、小型トカゲとしては比較的長命です。10年間にわたって「姿の見えない静かな同居人」と向き合い続ける覚悟が飼育者には問われます。