十和田バラ焼きの味を決定づけるのが専用のタレだ。基本的には醤油、砂糖、みりん、酒、ニンニク、生姜をベースに、店ごとにリンゴや蜂蜜、味噌などを加えて独自性を出している。特に十和田を含む青森県はリンゴの産地でもあり、リンゴのすりおろしや果汁を隠し味に使う店が多い。これが単なる甘辛い醤油味とは一線を画す、まろやかで奥行きのある甘さを生み出している。
地元の食文化に詳しい関係者の話では、「バラ焼きのタレは『煮詰める』ことが命」だという。大量の玉ねぎから出る水分と肉の脂、そしてタレが鉄板の上で一体になる。このとき、強火で一気に水分を飛ばすのではなく、中火でじっくりと煮絡めることで、玉ねぎの甘みがタレに溶け出し、肉に絡む。家庭で同じタレを使っても味が違うのは、この火力と時間のコントロール、そして鉄板という調理器具の特性による部分が大きい。
2026年現在、スーパーや道の駅では地元メーカーが製造する十和田バラ焼き専用のタレが販売されている。代表的なのは地元醸造元と飲食店が共同開発した「十和田バラ焼きのたれ」で、家庭で再現する際の定番品だ。ネット通販でも購入できるため、県外在住者が自宅で十和田の味を楽しむ手段として定着している。ただし、地元民の間では「家庭で作るバラ焼きはあくまで家庭の味。店の味とは別物」という認識が一般的だ。