ロッテリアからゼッテリアへの転換において、多くの消費者が最も疑問に感じているのが「なぜわざわざ名前を変える必要があったのか」という点だろう。この改名の背景には、2023年4月に成立した株式会社ゼンショーホールディングスによる株式会社ロッテリアの完全子会社化という、外食業界における歴史的なディールが存在する。
長年ロッテグループの外食部門を担ってきたロッテリアだが、国内ハンバーガー市場においては日本マクドナルドの圧倒的な規模とモスバーガーの確固たるブランド力に挟まれ、事業のポジショニングに苦慮し続けていた。そこに名乗りを上げたのが、「すき家」や「はま寿司」などを傘下に持ち、世界の外食トップ10入りを公言するゼンショーだった。ゼンショーによるロッテリア買収の理由は、手薄だったファストフード・バーガー領域の拠点を一挙に獲得し、グループが誇る巨大な食材調達ネットワーク「MMD(マス・マーチャンダイジング・システム)」に組み込むことにあった。
そして同年9月、東京都港区芝に実質的なリブランディング初号店として誕生したのが「ゼッテリア 田町芝浦店」である。ゼッテリアへの改名の真相について関係者の証言や業界動向を総合すると、従来の「昭和・平成レトロなハンバーガーチェーン」のイメージを脱却し、20代から40代のビジネスパーソンやファミリー層が日常的にくつろげる「ファストカジュアル・カフェ」へとブランドイメージを刷新する明確な意図があった。ブランド名はロッテリアの代名詞である「絶品バーガー(Zeppin)」と、くつろぎの空間を意味する「カフェテリア(Cafeteria)」を掛け合わせた造語であり、看板商品の強みを前面に押し出しつつ、喫茶需要をも取り込むハイブリッド戦略を象徴している。