花粉症になる人とならない人の決定打!体質・遺伝と発症境界線の真相

花粉症になる人とならない人の決定打!体質・遺伝と発症境界線の真相

花粉症になる人とならない人の決定打!体質・遺伝と発症境界線の真相の詳細解説をご紹介します。役立つ情報が詰まっています。

長年にわたり、花粉症の説明として「人間の体にはアレルゲンをためるコップがあり、花粉を浴び続けると水が溜まり、あふれた瞬間に発症する」という説が広く流布してきました。理解しやすい例え話として重宝されてきましたが、現代のアレルギー専門医の間では、この「コップの水理論の真相」について重大な修正が加えられています。

厳密に言えば、体内に蓄積されるのは花粉そのものではありません。スギ花粉が鼻粘膜に付着すると、抗原提示細胞(樹状細胞など)がその情報をキャッチし、ヘルパーT細胞を介してB細胞へ指示を出します。その結果として作られるのが、特定のアレルゲンだけに結合する「IgE抗体蓄積量」です。このIgE抗体が、鼻や目の粘膜に無数に存在するマスト細胞(肥満細胞)の表面にびっしりと結合していく状態を「感作(かんさ)」と呼びます。

問題は、この感作が完了したからといって、100%の人が即座に発症するわけではないという点です。アレルギー検査(血液検査)でスギ特異的IgE抗体のスコアが最高レベル(クラス6)を示していても、自覚症状がまったく出ない人が一定数存在します。医学的に言えば、スギ花粉アレルゲン許容量という固定化されたコップの縁があるのではなく、以下の4つの要素が絡み合って初めて発症の引き金が引かれます。

第一に、マスト細胞そのものの過敏性。第二に、知覚神経や血管の反応閾値。第三に、粘膜表面のタイトジャンクション(細胞同士の結合)のバリア強度。そして第四に、局所で炎症を鎮静化させる免疫調節因子の働きです。すなわち、花粉症発症メカニズムとは、コップから水があふれる単純な物理現象ではなく、幾重にも張り巡らされた生体防御ラインがドミノ倒しのように崩壊した結果として現れる生化学的パニックなのです。

「去年まで平気だったのに今年から急激に悪化した」という突然花粉症になる理由も、ここに帰生します。睡眠不足、精神的ストレス、自律神経の乱れ、あるいはPM2.5や黄砂による鼻粘膜の微細な損傷が重なった瞬間、それまでギリギリのところで踏みとどまっていた免疫バランスの堤防が決壊し、激しいくしゃみや鼻水となって噴出するのです。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。