作家・紗倉まなの名を世に知らしめた金字塔が、2016年に上梓された小説の代表作『最低。』です。AV業界を取り巻く4人の女性たちの日常と葛藤をオムニバス形式で綴った本作は、発売直後から大きな反響を呼び、文芸界に強烈なインパクトを与えました。
本作の持つ圧倒的な強みは、内側にいる者にしか捉えられない業界の質感と、そこに生きる個人の痛切なドラマを客観的な文学へと昇華させた点にあります。2017年には名匠・瀬々敬久監督によって映画化され、東京国際映画祭のコンペティション部門にも選出されるなど、映画界でも極めて高い評価を獲得しました。「最低」という挑発的なタイトルに込められた、生きることへの切実な肯定は、今なお多くの読者の胸を打ち続けています。