現場取材で見えてきたのは、日常生活を支えるエッセンシャルワーカーの決定的な欠乏です。特に医療介護の人手不足の現状は極めて切迫しており、地方都市だけでなく都市部においても特養ホームの空床を介護職員不足で埋められない事例が相次いでいます。物流や交通網においても運行本数の削減が常態化し、生活インフラの維持コストは急騰しています。
さらに現役世代を直撃しているのが、社会保障費の負担増がもたらす影響です。現行の社会保険制度は現役世代が高齢者を支える賦課方式を基本としているため、高齢者の比率が増えるほど手取り給与が目減りする負のスパイラルが生じています。
「年金制度の崩壊危機」としばしばセンセーショナルに語られますが、制度そのものが突如消滅するわけではありません。しかし、マクロ経済スライドによる実質的な給付額の抑制や支給開始年齢の議論が続く中で、「公的年金だけで老後を送る」という昭和・平成モデルは完全に破綻したと捉えるのが自然です。