西尾維新の作品を語る上で、登場人物の名前に仕組まれた罠を無視することはできない。「阿良々木暦(あららぎこよみ)」や「戦場ヶ原ひたぎ」、「零崎人識(ぜろざきひとしき)」など、一見すると奇抜な語感を持つキャラクター名だが、その裏には必ずと言っていいほどアナグラムや多義的な意味の掛け合わせが潜んでいる。
音読したときの跳ねるようなリズム感だけでなく、漢字の視覚的配置、さらには回文的要素までが計算し尽くされているのだ。名前そのものがキャラクターの運命や能力、物語の伏線を暗号のように提示する。登場人物が自身の名を名乗る瞬間、既に読者は彼の言葉の掌上に躍らされている。