近年の犯罪ドキュメンタリー人気の過熱は、エンターテインメントと刑事司法の境界線を極めて曖昧にしてきた。視聴者の「実話」に対する欲望に応えるべく、過剰な演出や未公開情報の切り売りが横行していた側面は否めない。
法曹関係者は懸念を示す。「刑事司法に関わる厳秘な捜査情報が、ドキュメンタリー制作の過程で金銭と引き換えに売買されるようなことがあれば、公判維持や法の下の平等そのものが揺らぎかねない」。メディアが事件を報道する意義と、個人の権利や司法手続きの厳密性との間で、どこまで許容されるべきなのか。今回の事件は業界全体に重大なアンチテーゼを突きつけている。