物語の大きなターニングポイントとなったのが、東京都大会準決勝における氷帝学園の敗戦でした。不動峰中学校の伊武深司にストレート負けを喫した宍戸亮に対し、氷帝学園を率いる榊太郎監督(榊監督)は即座に正レギュラー剥奪という非情な宣告を下します。「勝つことがすべて」「負けた者は去れ」という徹底した実力主義を掲げる氷帝において、一度の敗北は即座にメンバー落ちを意味していました。
通常であればそこで序列は固定化されるはずでしたが、宍戸は自慢の長髪をハサミで切り落とし、跡部景吾の口添えとともに榊監督へ土下座して再挑戦の機会を懇願します。そこで監督が突きつけた条件こそが、当時正レギュラーに名を連ねていた滝萩之介との「レギュラー枠を賭けたタイブレークマッチ」でした。突如として自身のポジションを防衛する戦いに巻き込まれた滝でしたが、動揺を一切表に出すことなくコートに立ちました。
しかし、背水の陣で泥臭い猛特訓を重ねてきた宍戸の執念と超攻撃型カウンターテニスに対し、滝は敗北を喫します。実力において著しく劣っていたわけではなく、正レギュラーとしてのプライドと現状維持の立場にあった滝に対し、全てを失って死に物狂いで食らいついた宍戸の覚悟の差が勝敗を分けた瞬間でした。こうして滝萩之介は、正レギュラーの座を宍戸に明け渡すことになったのです。