計算スピードを劇的に引き上げる裏技として、トップ進学校の生徒や数学愛好家が当たり前のように愛用しているのが、おうぎ形の面積の公式と弧の長さを直結させるアプローチです。
通常、おうぎ形の面積を求めるには「$\pi r^2 \times \dfrac{\theta}{360}$」という計算を用います。しかし、問題に中心角が書かれておらず「半径と弧の長さ」だけが判明している場合、わざわざ中心角を逆算してから面積を計算するのは時間の浪費です。実は、以下の公式を用いれば一瞬で面積が求まります。
$S = \dfrac{1}{2}\ell r$
(面積 = 半径 × 弧の長さ ÷ 2)
この式の形を見て、何か見覚えはないでしょうか。そう、小学校で習った「底辺 × 高さ ÷ 2」という三角形の面積の公式と全く同じ構造をしています。
なぜ曲線で囲まれたおうぎ形が、三角形と同じ計算式で求められるのでしょうか。その秘密は幾何学の極限操作にあります。おうぎ形を中心からバームクーヘンのように無数の細い扇形へと放射状に切り刻んでいく様子を想像してください。切り分けた無数の小さなパーツを上下交互に互い違いに噛み合わせるように並べ替えると、パーツが細かくなればなるほど、底辺が「弧の長さの半分($\frac{1}{2}\ell$)」、高さが「半径($r$)」の長方形へと限りなく近づいていきます。
つまり、おうぎ形とは「底辺が弧の長さ($\ell$)で、高さが半径($r$)の三角形」とみなすことができるのです。たとえば「半径5cm、弧の長さが$4\pi\text{ cm}$」のおうぎ形の面積は、中心角が何度であるかを一切気にすることなく、「$\frac{1}{2} \times 4\pi \times 5 = 10\pi\text{ cm}^2$」とわずか2秒で計算できます。このショートカットを知っているだけで、検算の手間は劇的に削減されます。