今回、都内の大手スタジオで背景美術を担当するベテランアニメーターに話を聞くことができた。彼が明かした「生きている廊下」を描くための最大の秘訣は、意外にも徹底した現地取材(ロケハン)と「汚れの観察」にあるという。
「新築の綺麗な廊下を描いても、視聴者の心には響きません。生徒たちの足跡で少し擦り減った床のワックス、窓際に溜まったわずかなホコリ、放課後の西日が壁のペンキのムラを際立たせる瞬間。そうした日常の生々しい痕跡を拾い集め、画面の上に再構成するんです」と語る。プロの現場では、光を描くことと同じくらい「影の質感」と「経年変化」に情熱が注がれている。