「世界的なスーパースターであれば、自動的にハリウッド商工会議所から星が贈呈される」という認識は、実は大きな誤解です。名声の歩道に星を埋め込むプロセスは、極めて厳格なエントリー制とビジネス的な合意によって成立しています。
ハリウッド商工会議所(Hollywood Chamber of Commerce)の公式選考基準によると、選考対象となるためには以下の条件をクリアしなければなりません。
- 該当分野での5年以上の実績:映画(Motion Pictures)、テレビ(Television)、音楽・録音(Recording)、ラジオ(Radio)、ライブパフォーマンス/舞台(Live Theatre/Live Performance)、スポーツエンターテインメント(Sports Entertainment)のいずれかで顕著な実績を有すること。
- 慈善活動・社会貢献:エンターテインメント界での成功だけでなく、コミュニティへの還元やフィランソロピー活動の実績が評価対象に含まれる。
- 本人の公式合意書の提出:候補者本人がノミネートを承諾し、設置から2年以内に行われる一般公開の除幕式(セレモニー)に自ら出席することを誓約する書面が必要。
そして、最も世間を驚かせるのが「星の値段」とも呼ばれるスポンサー費用です。選考委員会によって殿堂入りが承認された場合、申請者側は約7万5,000ドルから8万ドル規模(為替レートにより約1,100万〜1,200万円以上)の負担金を納付しなければなりません。この費用は、星の製造・設置工事費だけでなく、歩道全体の警備や維持管理を担う非営利組織「ハリウッド・ヒストリック・トラスト」への永続的なメンテナンス基金として充当されます。
資金の出所は本人ではなく、新作映画のプロモーションを兼ねた映画制作スタジオ、所属レコード会社、あるいは熱狂的なファンクラブがスポンサーとして拠出するケースが通例です。巨額の資金と戦略的なPRキャンペーンが合致して初めて、あのピンクのテラゾー(人造大理石)と真鍮のプレートが舗道に敷設される仕組みになっています。