ネット上の旅行コミュニティやSNSに蓄積された利用者の一次情報を精査すると、カタログスペックだけでは見えてこない過酷な現場の実情が浮き彫りになります。
特に女性旅行者から圧倒的に多く寄せられているのは、「アメニティと衣類のかさばりに対する認識不足」です。大手口コミサイトや質問掲示板に投稿された利用者の生々しい体験談には、次のような声が散見されます。
「スキンケア一式、ヘアオイル、カール用ヘアアイロン、メイクポーチだけでボストンバッグ1個分の重みになる。さらに旅行中は写真を撮るため毎日違うコーディネートを着回したく、靴もスニーカーとパンプスの2足を準備したところ、38Lのケースは出発前の時点でファスナーが悲鳴を上げていた。結局、旅先で買った有名店のクッキー缶はすべて手持ちの紙袋になり、雨の日の移動で袋が破れて散々な目に遭った」(20代・会社員)
一方で、慎重を期して大きめのサイズを購入した旅行者からは、「大きすぎて後悔した」という逆方向の失敗談も数多く報告されています。
「大は小を兼ねると思い、65L前後のスーツケースで3泊4日の京都旅行へ。中身がスカスカだったため移動中に内部で荷崩れを起こし、化粧水のボトルが衣類の上で破損。さらに古都の狭い石畳や寺院の急な階段でケースを持ち上げるたびに腕がパンパンになり、翌日はひどい筋肉痛に悩まされた。駅のコインロッカーも中型がすべて埋まっており、大型ロッカーを探すためだけに30分以上無駄にした」(30代・公務員)
こうした実態から見えてくるのは、荷物の総体積だけでなく「移動経路のインフラ環境」と「自身の体力」を勘案したサイズ選定の重要性です。平坦な空港とタクシー移動が中心であれば多少大型でも問題ありませんが、新幹線や在来線の乗り継ぎ、徒歩移動が多い日本の国内旅行では、過大なスーツケースは明確な行動制限要因へと変貌します。