「お風呂の中だけは、お互いにスマホを見ない」と語るのは、都内のIT企業に勤めるサキさん(28歳)です。ベッドの上でも、食事中すらも、SNSや通知に追われる現代社会。浴室は、物理的にデバイスを持ち込みにくい(あるいは持ち込まないルールにしやすい)最後の砦となっています。
湯気の中で顔を合わせ、今日あったことを話す。ただそれだけのことが、デジタルにまみれた日常において、極めて贅沢なコミュニケーションとして機能しています。タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する世代が、あえて「何もしない時間」を共有するために湯船を選ぶのは、一種の自己防衛とも言えるでしょう。