SNSのタイムラインやマッチングアプリのプロフィール欄を見渡すと、「30歳なら年収600万〜700万円が標準」であるかのような錯覚に陥ることがあります。しかし、こうした言説は労働市場における生存者バイアスと虚栄心が生み出した幻想に過ぎません。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに作成された「30代年収分布図」を詳細に読み解くと、30歳時点で年収500万円の割合は全体の約15%〜20%に過ぎません。さらにハードルを上げた「年収600万円以上」に到達している層は、全体のわずか6%〜8%前後という極めて狭き門です。
30代前半(30〜34歳)のボリュームゾーンは「300万〜400万円未満(約35%)」と「400万〜500万円未満(約25%)」であり、この2つの層だけで過半数を大きく占めています。ネット上で過度に煽られる高年収言説に振り回され、「自分は同年代より著しく劣っているのではないか」と思い悩む必要は客観的なデータの上では全くありません。