焼肉のたれを使った野菜炒めで最も多い失敗が、「野菜から大量の水が出てスープのようになってしまう」という現象です。この原因は、家庭用コンロの火力不足だけではありません。主たる要因は、調味料に含まれる塩分濃度と浸透圧の作用、そして炒め時間の長さにあります。
野菜の細胞壁内部には多くの水分が含まれています。調理の早い段階で塩分や糖分の高い焼肉のたれを投入してしまうと、浸透圧の原理によって細胞内の水分が一気に外へ引き出されます。さらに、水分がフライパン内に溜まることで「炒める」状態から「煮る」状態へと変化し、蒸気によってキャベツやもやしのシャキッとした食感が完全に失われてしまうのです。
これを防ぐためには、野菜の表面を油で素早くコーティングして細胞破壊を最小限に抑え、味付けのタイミングを加熱の最終盤(全体の9割火が通った時点)に設定することが極めて重要になります。