新風が吹き荒れる一方で、古き良き酒場の流儀もまた、揺るぎない輝きを放っている。吉田類が全国を巡って伝えてきた「酒場は人と人を結ぶ止まり木」という哲学、そして太田和彦が厳格な美意識で愛でてきた名建築のような老舗酒場の佇まい。この両巨頭が描き出した酒場文化の神髄は、若い店主たちにも確実に受け継がれている。
年季の入った白木のカウンターを毎日磨き上げ、きりりと冷えたビールと手作りの小鉢を出す。奇をてらわず、ただ実直に客を迎える姿勢。トレンドに流されないこうした老舗の暖簾を守ることこそが、日本の外食文化の屋台骨を支えているのだ。