害虫を見つけた際、多くの人が真っ先に思い浮かべるのがくん煙剤(バルサンやフォグバーなど)の一斉散布です。しかし、紙を食べる虫に対しては過信が禁物であり、単独使用では再発を繰り返すという落とし穴があります。
1. くん煙剤の効果と限界
くん煙剤に含まれるペルメトリンやメトキサジアゾンなどの殺虫成分は、空間を飛び交う虫や露出している成虫には高い効果を発揮します。しかし、シミやチャタテムシは本と本の間、閉じられた箱の底、幅木のわずか0.5ミリの隙間に身を潜めています。微細な煙や霧はこうした超狭小部には届きにくく、さらに「害虫の卵」には薬剤が浸透しないため、2〜3週間後に孵化した幼虫が再び増殖を始めてしまいます。
2. 貴重な本や古文書に殺虫スプレーを直接吹きかけるリスク
古本や大切なコレクションに虫を見つけたからといって、市販のエアゾール殺虫スプレーを直接噴射するのは絶対に避けてください。スプレーに含まれる油剤や溶剤、噴射ガスによって、紙の変色、活字のインク滲み、シミの永久沈着が発生し、紙の価値を修復不能なレベルで損ねる結果となります。