津田健次郎さんは過去の特別番組やインタビュー、自著の中で、20代後半から30代初頭にかけての苦境を赤裸々に語っています。当時は役者・声優としての収入だけでは生活が成り立たず、アフレコ現場へ向かう交通費や日々の食事代にも事欠く厳しい日々を送っていました。
そんな津田さんにとって、越前リョーマ役の皆川純子さん、手塚国光役の置鮎龍太郎さん、大石秀一郎役の近藤孝行さん、不二周助役の甲斐田ゆきさんら青学レギュラー陣が集うスタジオは、表現者として切磋琢磨する修行の場であり、温かい居場所でもありました。
特に『テニプリ』を語る上で外せないのが、乾が開発する恐怖の特製ドリンク「乾汁(いぬいじる)」にまつわるエピソードです。作中で部員たちが悶絶・気絶するこのアイテムは、イベントやラジオ番組(『テニスの王子様 オン・ザ・レイディオ』通称ラジプリ)でも現実の罰ゲームとして再現されました。青汁や酢、各種調味料をブレンドした強烈な実物をキャスト陣が実際に飲まされ、悶絶する津田さん自身のリアクションはファンの間で伝説となっています。
また、キャラクターソング(キャラソン)においても津田さんの多才ぶりが遺憾なく発揮されました。『YOU GET THE POWER』や『オメデトウ』をはじめとする乾の楽曲は、知的な語り口を活かしたスポークンワード調のものから本格的な歌唱まで幅広く、後の声優音楽シーンにおけるキャラクター表現の幅を大きく広げる先駆けとなりました。