本作のバックボーンにあるのは、天野節子による同名のベストセラーミステリー小説である。第1回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞した原作は、緻密に張り巡らされた伏線と、人間の底知れない悪意をリアルにえぐり出したプロットで読書界を唸らせた。
活字から映像への翻案にあたっては、文字情報ならではの心理描写をいかにビジュアルへ昇華させるかが最大の課題だった。結果として完成した映像版は、原作の骨太な骨格を損なうことなく、日本のテレビドラマ史に刻まれるべき緊迫感あふれる心理戦のエンターテインメントへと見事に結実した。