「テレビカメラの前だけ泥にまみれているのではないか」という放送初期の穿った見方を、自らの肉体労働と十数年の歳月によって完全に覆したのが、渡辺ヘルムート直道(本名:渡辺直道)氏です。2026年を迎えた現在も、渡辺ディレクターは移住先である茨城県常陸大宮市の山あいで大地に根ざした生活を力強く継続しています。
企画発足当初の2008年春、電気も水道も通っていないボロボロの空き家と荒れ果てた耕作放棄地からスタートした「ひとり農業」は、現在では複数の圃場(ほじょう)を擁する本格的な農場へと成長を遂げました。米や季節の露地野菜はもちろんのこと、果樹の栽培、味噌や醤油などの伝統調味料の醸造、さらには敷地内に組み上げた本格的な石窯でのパン作りまで、生活に必要な食糧基盤の自給率は極めて高い水準を維持しています。
かつてTBSの制作現場で不規則な激務に追われていたディレクター時代の面影はすっかり消え去り、現在では日焼けした引き締まった体躯と穏やかな眼差しが印象的な「ベテラン農家」の風格を漂わせています。朝早くから農作業に汗を流し、自然のバイオリズムに寄り添いながら家族と食卓を囲む日々は、都会の喧騒から離れた豊かなライフスタイルそのものです。