デジタル化が極限まで進んだ現代のコミュニケーション環境において、電話というツールの位置づけそのものが変容しています。取材を通じて見えてきたのは、「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する世代と、電話の即時性を重視する現場との激しい摩擦です。
「電話をかけてくる人というのは、要件をテキストでまとめるのが面倒か、あるいは極めて緊急性が高いかの二者択一です。後者の場合、ライブ留守電の文字起こしで『至急〇〇病院の件で』と見えた瞬間に飛び起きることができます。文字起こしのおかげで、電話恐怖症がかなり和らぎました」(20代・フリーランス)
一方で、医療現場や建設現場、不動産営業など、常時電波が不安定な地下や鉄筋コンクリート内を行き来するプロフェッショナルからは、全く異なる切実な声が寄せられています。
「現場に入ると平気で数時間は圏外になります。圏外の間に『見積もりの変更』や『緊急トラブル』の連絡が入るのが日常茶飯事。もし無料のライブ留守電だけで運用していたら、電波が戻ったときに着信履歴すら残っておらず、数千万円単位の取引を落としかねません。私にとって月330円のキャリア留守電は生命保険と同じです」(40代・建設会社役員)
ソーシャルメディア上では「無料機能こそ正義」という言説が消費されがちですが、実社会の現場では、通信の確実性に対する対価として月額料金を投じる層が依然として強固に存在しています。