空の猛禽類を代表する「タカ」と「ワシ」。生物学的には同じタカ目タカ科に属し、明確な境界線はなく「大型のものをワシ、中・小型のものをタカ」と呼ぶのが一般的ですが、漢字の成り立ちにはまったく異なる世界観が反映されています。
「鷹(たか)」の字を分解すると、「广(まだれ)」+「亻(にんべん)」+「隹(ふるとり)」+「鳥」という重厚な構造になっています。これは、家屋や施設の中で人間が飼育・調教し、狩猟に用いる鳥(鷹狩り)の情景を表しています。人間社会と密接に関わり、武士階級の権威の象徴として愛されてきた歴史が文字の中に刻まれています。
一方の「鷲(わし)」は、「就」+「鳥」で成り立っています。「就」には「高くそびえる」「寄り集まる」という意味があり、人里離れた高山や大空高く雄大に旋回する巨大な鳥の姿を表現しています。人の手で飼い慣らすことのできない、威厳ある自然の王者を象徴する文字です。
さらに猛禽類・夜行性鳥類として外せないのが「梟(ふくろう)」です。「木」の上に「鳥」が乗っている形状ですが、古代中国の文献によると、親鳥を殺す不吉な鳥と見なされ、捕獲した梟の首を木の上に晒したという凄惨な習俗(梟首=きょうしゅの語源)に由来するという説が有力です。現代では「不苦労」「福来」などの縁起物として親しまれていますが、文字の起源には古代人の恐れと禁忌が刻まれています。