2015年3月、12年間にわたり母校を率いた渡辺氏は早大駅伝監督を電撃退任しました。学生駅伝界の顔として定着していただけに、当時は「なぜこのタイミングで辞めるのか」とファンやメディアの間で様々な憶測が飛び交いました。
退任の真の理由は、決してチーム内の不協和音や成績不振による解任ではありません。監督就任から10年以上の節目を迎え、後進へのスムーズなバトンタッチ(後任は教え子の相楽豊氏)体制が整ったこと、そして何より住友電工からの熱烈なオファーを受け、実業団という新たな舞台で世界を目指す選手を育てたいという強い情熱が合致したためです。
大学の指導者として頂点を極めた渡辺氏にとって、実業団チームをゼロからトップ集団へと引き上げる挑戦は、指導者としての次なる進化を求めた必然の決断でした。