南三陸の復興を現場で牽引し続けてきたキーパーソンが、宿の専務取締役・女将を務める阿部憲子氏だ。親会社である株式会社阿部長商店の「地域と共に生きる」という揺るぎない理念のもと、彼女は震災の風化を防ぐ取り組みを先頭に立って展開してきた。
その象徴的な試みが、毎朝運行されている「語り部バス」である。ホテルのスタッフ自らが語り部となり、被災時の状況や復興の現状を乗客に直接伝えるこのバスには、これまでに数十万人以上が乗車した。地域資源の継承と防災教育を融合させた取り組みは、いまや観光・ホテル業界全体における先進的な地域共生モデルとして、国内外の研究者やメディアから深い関心を集めている。