鮮魚市場や食品流通の現場において、「シャケ(鮭)」と「サーモン」は明確に区別されています。結論から言えば、日本の伝統的な「鮭」は天然の海で育った魚であり加熱用、流通する「サーモン」は人工管理された養殖魚であり生食用(刺身用)という住み分けが確立しています。
もともと「サーモン(Salmon)」という英語の語源・由来は、ラテン語で「跳ぶ」を意味する「salire(サリエ)」に遡ります。川の急流や滝を力強く跳ね上がって遡上する姿から名付けられたとされています。英語圏ではサケ科の魚全般を広く指しますが、日本国内の食品流通においては「生食できるサケ科の魚=サーモン」という独自の定義が定着しました。
この違いを生み出している根本的な要因が「育ち方とエサ」です。天然の鮭は北太平洋などの大海原を回遊しながら、オキアミや小魚を捕食して成長します。この自然の食物連鎖の過程で、寄生虫の中間宿主を取り込んでしまうため、天然の鮭は生で食べることができません。一方、サーモンは幼魚の段階から陸上施設や徹底管理されたいけすで飼育され、加熱殺菌処理された人工配合飼料(ドライペレット)のみを与えられて育ちます。この管理体制の違いこそが、刺身で安心して食べられる最大の根拠です。