呼吸が荒くなる背景には、目に見えない内臓の重大な病変が潜んでいます。臨床現場で最も頻繁に遭遇し、かつ突然死の原因となりやすい代表的疾患を紐解きます。
筆頭に挙げられるのが、中年以降の猫に好発する猫の肥大型心筋症です。心臓の筋肉(心筋)が内側に向かって異常に分厚くなり、心室内腔が狭まることで血液を十分に送り出せなくなる病気です。この疾患の恐ろしい点は、末期に至るまで聴診器を当てても心雑音が聞こえないケースが約半数も存在する点にあります。無症状のまま水面下で進行し、ある日突然、肺に毛細血管から水分が漏れ出す猫の肺水腫 初期症状として「呼吸数の急激な増加」が現れます。
さらに、心不全やがん、感染症(猫伝染性腹膜炎=FIPなど)から引き起こされる猫の胸水 呼吸困難も見逃せません。胸郭の中に大量の液体が溜まることで肺が押し潰され、物理的に膨らむことができなくなります。胸水が溜まった猫は、息を吸うことが極めて困難になるため、浅く速い呼吸を必死に繰り返すようになります。
気道系のトラブルとして多発するのが猫喘息 咳と呼吸の荒さです。アレルギー反応等によって気管支が慢性炎症を起こし、気道が狭窄します。「毛玉を吐き出そうとしているような姿勢で、首を低く伸ばしてゼーゼーと咳き込む」のが典型例です。これを単なる嘔吐の仕草と誤認して放置すると、重度の喘息発作を起こして低酸素脳症や突然死を招く危険性があります。