エビの下処理に関して、インターネット上やSNSで見られる情報の中には、逆効果を招く誤解も散見される。現場の検証から判明した代表的な失敗例を取り上げる。
誤解1:重曹を直接エビに大量に振りかけて放置する
重曹の保水効果を狙うあまり、規定量を超えて直接粉末を揉み込んだり、1時間以上放置したりすると、エビの組織が分解されすぎてゼリー状に溶け、特有の苦味や石鹸のような薬品臭が身に移ってしまう。重曹は必ず微量(素材重量の0.2〜0.5%程度)を守り、水に溶かした状態で短時間使用するのが鉄則である。
誤解2:背ワタは加熱すれば殺菌されるから取らなくてもよい
衛生上の問題だけでなく、背ワタに含まれる砂はどれほど加熱しても分解されない。また、消化液の酵素が周囲の身を劣化させるため、食感のジャリつきと生臭さを残す最大の要因となる。美しい仕上がりを目指すなら省略すべきではない。
誤解3:尻尾の先端を切っただけで水抜きを完了とする
尾の先端をハサミで切り落としただけでは、内部の袋状組織に溜まった水分は排出されない。必ず包丁の背や指の腹で強くしごき出し、黒い体液を物理的に絞り出す工程が必要である。