都市の駅前一等地をめぐる戦いは、極めて対照的なアプローチを見せている。ビックカメラは訪日外国人観光客の消費回復を逃さず捉えた。都心旗艦店では免税売上が劇的に跳ね上がり、医薬品や酒類、高級時計売り場を拡充したハイブリッド戦略が功を奏している。子会社コジマとの郊外・都市ハイブリッド連携も軌道に乗り、収益構造の復元力を見せつけた。
一方、ヨドバシカメラの牙城は微動だにしない。自社配送網を武器にした「ヨドバシ・ドット・コム」は、国内ECプラットフォームとしてアマゾンに真っ向勝負を挑める数少ない存在だ。店舗在庫とネット注文を完全に同期させ、最短で当日中に届く超高速配送網を自前で構築した。驚くべきは、そのEC基盤が実店舗の圧倒的な品揃えと接客力に支えられている点にある。実店舗で現物を確かめ、ネットで買い、ポイントを共通化する。オムニチャネルの理想形を競合に先駆けて完成させたことが、高収益を維持する最大の防壁となっている。