織田裕二の言葉は、決してマーケティング会議や放送作家の机上で用意されたコピーではない。彼が自らの足で競技場へ通い詰め、自らの目で選手の汗や涙、筋肉の収縮を見つめ続けたからこそ絞り出された生きた言葉だった。
2007年大阪大会での伝説的シャウト「地球に生まれてよかった!」。ウサイン・ボルトが人類の常識を覆した瞬間の、子供のように目を見開いたあ然とした表情。彼は中継ブースに収まり続けることを嫌い、自らウォームアップ場やミックスゾーンへ足を運んでは選手の放つ緊迫感を肌で感じ取っていた。彼にとって世界陸上は単なる大型番組の仕事ではなく、2年に一度訪れる「人生最大の祭り」だったのだ。