店頭のサンプルケースを一目見た来訪者は、例外なくその圧倒的な物量に息を呑みます。一般的なカフェチェーンが提供するパフェが季節限定を含めて数種類から十数種類程度であるのに対し、三条本店が誇るからふね屋珈琲のパフェの種類は常時150種類から200種類以上、過去のアーカイブを含めれば優に数百種類を超えます。
この特異なメニュー構成は、決して一朝一夕の思いつきで生まれたものではありません。創業時のからふね屋珈琲は、時間をかけて一滴ずつ抽出する水出し珈琲を軸とした純喫茶でした。しかし、三条河原町という立地は、古くから京都大学や同志社大学などの学生が行き交う若者の街でもあります。昭和から平成へと元号が変わる過渡期、競合ひしめく繁華街で生き残るため、当時の開発チームが着手したのが「訪れるたびに新しい発見があるエンターテインメント空間の構築」でした。
現場スタッフやアルバイトから斬新なアイデアを募り、商品化テストを重ねてメニューブックへ次々と追加していくボトムアップ型の商品開発。その結果、抹茶やチョコレートといった王道系から、リキュールを効かせた大人向けパフェ、旬のフルーツを豪快に盛った季節限定品に至るまで、膨大なバリエーションが形成されました。飲食業界における「効率化とメニュー絞り込み」という定石に真っ向から抗い、多様性そのものをブランドアイデンティティへ昇華させた点に、この老舗の真骨頂があります。