このドラマを語る上で、やはり藤田まことの存在を抜きにすることはできない。彼が演じた「安さん」こと安浦吉之助は、拳銃を携帯せず、足で稼ぐ地道な捜査を信条とする刑事だった。時に厳しく、時に父親のような温かさで被疑者に語りかける姿は、視聴者に深い安心感を与えていた。
藤田まことがもたらした独特の「間」と、哀愁を帯びた眼差しは、他の追随を許さない。彼が画面に映るだけで、張り詰めた事件現場に人間らしい体温が通う。2010年に彼が旅立った後も、その圧倒的な存在感は作品の中に生き続け、多くの後輩俳優たちに影響を与え続けている。