ポッキーのコマーシャルメッセージが本格化した1970年代以降、江崎グリコが起用してきたタレントの顔ぶれは、まさに日本芸能史の縮図そのものです。広告業界のキャスティング担当者が「当時のグリコの選美眼は群を抜いていた」と証言するように、起用された少女たちは例外なくその後のエンタメ界の中心人物へと成長を遂げました。
ポッキーCMの黎明期において、初代のイメージガールとして鮮烈な印象を残したのが岡田奈々さんです。1970年代半ば、トレードマークのショートカットと清潔感あふれる佇まいで登場し、「恋人はポッキー」という情緒的なコピーとともに爆発的な支持を獲得しました。以降、昭和後期には倉田まり子さんや松田聖子さんといったトップアイドルが相次いで登場。お菓子を食べる仕草そのものを「青春のときめき」へと昇華させる映像文脈が確立されました。
その流れを決定的なカルチャーへと押し上げたのが、1980年代後半の宮沢りえさんです。当時10代前半だった宮沢さんが見せた無垢で圧倒的な輝きは、グラスにポッキーを挿して楽しむ「ポッキー・オン・ザ・ロック」のプロモーションとともに、日本全国の若者文化を席巻しました。その後、牧瀬里穂さんらによる「3.2.1.Pocky!」の軽快な掛け声とともに平成初期のポップな世界観へとシフト。グリコCM歴代タレント経歴を振り返ると、清純さの中に強い生命力を宿した存在が常に選ばれてきたことが分かります。